カメラが写した80年前の中国|京大総合博物館特別展
「華北交通写真」に魅かれて
先日、京都に行ってきました。
その際に京都大学総合博物館を訪れ、特別展「カメラが写した80年前の中国-京都大学人文科学研究所所蔵 華北交通写真-」を鑑賞しました。
タイトルから、日中戦争の凄惨な写真をイメージされるかもしれませんが、今回の写真展はそうではありません。
戦時中、華北の交通インフラの整備を目的として設立された華北交通が広報用に撮った写真が展示され、当時を知ることができる貴重な風土、民俗、文物などを見ることができます。
現代の人々の様子を写すストリートスナップを撮っている自分にとって、大変興味深い内容でした。
軍からの検閲を逃れたストック・フォト
京大に保管されている華北交通による広報用のストック・フォトは、その数なんと3万5千点以上という膨大な量です。
それらは広報用のストック・フォトとして撮影されたものであり、当時公開されたものを除いて、軍からの検閲の規制の対象とはならなかったようです。
そのため、当時の華北を生きた人々の暮らしや土地の風景などがうかがえます。
まあでも、軍の検閲の対象とならなかったとはいえ、華北交通による広報用のストック・フォトですので、撮影者のバイアスがあったことは想像できなくはないです。
それでも、当時を知る貴重な記録であることは間違いないです。
カメラはただの「道具」である
展示されている写真を見て、撮影者は仕事として撮っているけれども、たぶん純粋にそして真剣に楽しみながら写真を撮っていたのではないかと感じました。
それはまるで、ジブリ映画「風立ちぬ」の主人公が純粋に飛行機への憧れから零戦を開発したように、彼らも無心でシャッターを切っていたのではないでしょうか。
それから、僕はつくづく「カメラはただの道具」であるということを再認識しました。
カメラは単なる道具に過ぎず、その道具から映し出された写真は記録であるけれども、撮影者の意思によって千変万化する物語である、と。
僕は、当時これらの写真を撮った撮影者たちが何を思い、何を感じてシャッターを切ったのか訊ねたくなりました。
特別展の詳細について
特別展の詳細については下記をご確認ください。
特に休館日などにはご注意ください。
なお、これらのストック・フォトは、華北交通アーカイブでもご覧いただけるようですので、興味のある方はぜひ。
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