2017年ノーベル文学賞にカズオ・イシグロ氏
今年のノーベル文学賞は、カズオ・イシグロに授与されることが決定された。
予想ではイスマイル・カダレかデイヴィッド・マルーフだったのですが、残念ながら外れてしまった。
しかしながら、カズオ・イシグロが受賞するとは思ってもみなかったので、大変に驚いている。
受賞するとしても、あと10年後くらいだろうなと思っていた。
ちなみに、受賞理由は「壮大な感情の力を持った小説を通し、世界と結びついているという、我々の幻想的感覚に隠された深淵を暴いた」というもの。
確かに、「壮大な感情の力を持った小説」であることは間違いない。
ぜひ、カズオ・イシグロの小説を手にとって読んでいただきたい。
カズオ・イシグロのおすすめの小説は?
一番にお勧めしたいのは『日の名残り』だ。
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
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まずなんといっても、文章が美しい。
とても洗練されていて、物語の世界に引き込まれる。
そして読後にこのタイトルである『日の名残り』の意味が静かに胸に突き刺さり、本当に読んでよかったと思わせる。
ちなみに、本作はイギリスの最も権威のある文学賞であるブッカー賞を受賞している。
他にも2016年に綾瀬はるか主演でドラマ化され、話題となった『わたしを離さないで』や、最新作『忘れられた巨人』等、どれも大変読み応えのある小説ばかりだ。
また、『夜想曲集』という短編小説もあるので、ここからカズオ・イシグロの世界に入るというのもいいかもしれない。
夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)
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ぜひ、この機会に手に取ってみてはいかがだろうか。
栄冠は誰の手に?~ノーベル文学賞、今夜決まる~
先日、今年のノーベル文学賞の受賞者を予想した記事を書いた。
その記事では、今年は「イスマイル・カダレかデイヴィッド・マルーフだろう」と予想した。
では、度々ニュースで取り上げられるイギリスの大手ブックメーカー「ラドブロークス」ではどのような予想になっているのだろうか?
1位はグギ・ワ・ジオンゴ氏、2位は…
今日の15時の時点で見てみると、以下の人気順となっていた。
1位 グギ・ワ・ジオンゴ
2位 村上春樹
3位 マーガレット・アトウッド
4位 閻 連科/高銀
6位 アモス・オズ/クラウディオ・マグリス/ハビエル・マリアス
9位 アドニアス
10位 ドン・デリーロ
注目の村上春樹は2位と人気。
個人的には、村上春樹が受賞となれば非常にうれしい。
あと、4位に閻 連科が入っていることに驚きだ。
2012年に同郷の中国出身である莫言が受賞しているので、今年受賞できるかどうか分からないが、あと数年後には受賞できると思っている。
予想した2人はいったい何位だったのか?
さて、予想したイスマイル・カダレとデイヴィッド・マルーフの人気順は以下のとおり。
12位 イスマイル・カダレ
44位 デイヴィッド・マルーフ
両者とも微妙な立ち位置だ。
それよりも、3位のマーガレット・アトウッドと10位のドン・デリーロは、かなり可能性が低いと思う。
理由は以下のとおり。
マーガレット・アトウッドは、確かに今年フランツ・カフカ賞とドイツ出版協会平和賞を受賞して勢いはあるが、すでに同郷のカナダ出身のアリス・マンローが2013年に受賞した。
またドン・デリーロは、去年同じ出身国であるボブ・ディランが受賞している。
よって、この2人はほぼ今年は受賞しないとみていいだろう。
まあ、あくまでもこれは人気順なので。
ということで、今夜ついに発表となるが、果たして栄冠は誰の手に?!
2017年ノーベル文学賞受賞者を真剣に予想してみる
そろそろノーベル賞の時期が近づいてきた。
ということで、今年のノーベル文学賞の有力候補者を真剣に予想してみる。
国際的な文学賞の受賞者=有力候補?
過去のノーベル文学賞受賞者が受賞した、他の国際的な文学賞の受賞歴から予想していく。
主なノーベル文学賞受賞者を輩出した国際的文学賞は以下のとおり。
- エルサレム賞:5名
- ストルガ詩の夕べ:5名
- アストゥリアス皇太子賞(文学部門):4名
- ドイツ出版協会平和賞:4名
- ノイシュタット国際文学賞:2名
- 国際IMPACダブリン文学賞:2名
- フランツ・カフカ賞:2名
- ブッカー国際賞:1名
※右側の人数は、後にノーベル文学賞を受賞した人数
そして、上記の文学賞を複数受賞している有力候補者を以下に挙げていく。
- フィリップ・ロス(アメリカ)
- イスマイル・カダレ(アルバニア)
- アモス・オズ(イスラエル)
- デイヴィッド・グロスマン(イスラエル)
- クラウディオ・マグリス(イタリア)
- アントーニオ・ムーニョス・モリーナ(スペイン)
- ジョン・バンヴィル(アイルランド)
- アダム・ザガエフスキ(ポーランド)
- 村上春樹(日本)
- マーガレット・アトウッド(カナダ)
- デイヴィッド・マルーフ(オーストラリア)
その中でも3つ以上を受賞しているのは、
- フィリップ・ロス(アメリカ)
- イスマイル・カダレ(アルバニア)
- アモス・オズ(イスラエル)
- クラウディオ・マグリス(イタリア)
- マーガレット・アトウッド(カナダ)
である。
ということで、この時点ではこの5名が有力候補というわけだが、必ずしも国際的な文学賞をたくさん受賞したからノーベル文学賞が受賞できるというわけではないので、あくまでも参考程度に見てほしい。
出身国で見る受賞者たち
まず大前提に、近年における受賞者の出身国は連続しないということだ。
昨年は、ボブ・ディランが受賞したので、今年はほぼ100%アメリカ出身の作家等は受賞しないと言ってもいいだろう。
それでは、過去20年の受賞者たちの出身国から、地域別に見てみよう。
- ヨーロッパ:14名
- 北米:2名
- アジア:2名
- 南米:1名
- アフリカ:1名
こうしてみると、ヨーロッパ出身者がとても多い。
以上から、2通りのことが考えられる。
①今年もヨーロッパ出身者が有力候補
②非ヨーロッパ・北米系の出身者が有力候補
結局、誰が有力候補なのか
以上より、国際的な文学賞の受賞歴と出身国・地域から考察してきた。
受賞歴からは、以下の方々が有力候補と考えてもいいと思う。
- フィリップ・ロス(アメリカ)
- イスマイル・カダレ(アルバニア)
- アモス・オズ(イスラエル)
- デイヴィッド・グロスマン(イスラエル)
- クラウディオ・マグリス(イタリア)
- アントーニオ・ムーニョス・モリーナ(スペイン)
- ジョン・バンヴィル(アイルランド)
- アダム・ザガエフスキ(ポーランド)
- 村上春樹(日本)
- マーガレット・アトウッド(カナダ)
- デイヴィッド・マルーフ(オーストラリア)
そして、出身国・地域から考えると、以下の方々に絞られてくると考えられる。
上記5名は、過去20年における受賞者の出身国と重ならない。
※年齢も考察の対象に含めた。
そして、もしこの中からさらに絞るのであれば、イスマイル・カダレ(アルバニア)とデイヴィッド・マルーフ(オーストラリア)だろう。
理由としては、ノーベル文学賞受賞者のうち、アルバニア出身者はおらず、またオセアニア圏の出身者が1人しかいないからだ。
さて、今年は誰が受賞するのだろうか?
昨年のようなサプライズはあるのだろうか?
非常に楽しみである。